台湾料理の特徴とは?台湾料理とはどんな料理でしょう?
ネットで検索してみると「小籠包」「牛肉麺」「豆漿」「蚵仔煎」という料理名が出て来ます。確かにそれらは台湾料理なんですが、台湾に詳しい人からは「それは小吃でスナックみたいなもの。本当の台湾料理は・・・」とかよく分からないお話が始まってしまうかも知れません。
確かに台湾で食べられているものは「台湾料理」と呼ぶことができます。でも「小籠包」「牛肉麺」「豆漿」だけが台湾料理ではありません。それを知るために、ちょっと台湾の歴史とともに「台湾料理」がどのようにできて来たか見てみましょう。
この記事を読むとガイド本やメディアで目にする「台湾料理」に少しだけプラスしてもっと台湾を味わえる手がかりになるでしょう。
台湾400年の歴史
記録に残っている台湾の歴史は諸説あるのですが17世紀(~1600年代)あたりから400年ほどです。この400年の間に大きくわけて5つほどの区切りがあります。
- 原住民時代 (17世紀以前)
- オランダ征服時代(17世紀)
- 華人(閩南/客家)移入期(17~19世紀)
- 日本統治時代(1895 – 1945年)
- 国民党政府時代~現代 (1945年以降)
それぞれの時代に台湾の食生活はどのように変わっていったのでしょうか?ここを読むことで台湾料理とはどんな料理なのか?を少しでも理解することができます。
原住民時代(17世紀以前)
台湾には海を渡って来た人々が遥か昔から住んでいました。現在ではそれらの人々は原住民と呼ばれています。その人たちが何を食べていたのかというとアワ、山芋、陸稲(水田じゃなく乾いたところで育つ稲)なんかを食べていたみたいです。
調理方法もシンプルに、煮る、焼く、塩等で漬物にする。といった食べ方をしていて、海辺だったら魚や海藻を、山だったら獣や山の幸を食べていたようです。
これだけ聞くと台湾料理じゃないようです。そもそも中華料理っぽくない。まあそうですね。
オランダ征服時代(17世紀)
台湾のいくつかの離島や台湾南部をオランダが征服しました。その後スペインが一時台湾北部を征服した時期も有りました。
さて、オランダ人はインドネシアから水牛、スナップエンドウ、トマト、マンゴー、青唐辛子、さつまいも、水稲を導入します。ここら辺から現代に繋がる台湾の食文化が発展し始めます。でも、当時の食べ物はまだ今の台湾で広く食べられている物とは違う気がしますね。
華人(閩南 / 客家)移入期 (17~19世紀)
海外からの征服、交流が始まることで中国大陸から華人の移入も始まります。主にどんな民族が台湾に渡って来たのかと言うと、閩南(福建南部周辺)、客家(広東省、江西省、福建省)の人たちです。
やっと中国大陸から中華料理っぽい物を作る人たちが多く台湾にやって来ました。現在食べられている台湾料理のルーツはここら辺の料理だと考えられます。
閩南料理と客家料理
閩南料理と客家料理は台湾料理の中心となるので少し詳しく見てみましょう。
同じ福建省あたりを中心とした地域から渡って来た閩南人と客家人で、主食は米で牛肉は食べないと言う共通点はあるものの、おかず系の食べものはだいぶ異なっていました。
閩南人の料理は海沿いから来たこともあり、海鮮を使った比較的淡白な味付けで、蒸したり炒めたり煮込んだりする料理が多いです。日本人にも馴染みやすい味付けの料理かも知れません。
対して客家人の料理は油、塩、炭水化物多めで濃いめの味付け。ご飯何杯でもいける系の料理が多いです。これは山間部に住み流浪の民と言われ土地と転々とし、保存の効く食材を使い、仕事は労役が多かったことからエネルギーをたくさん摂るための食事となっていったと考えられます。
ちょっと「台湾料理」のイメージに近い物になって来たのではないでしょうか? でもまだ小籠包や牛肉麺といった小麦粉系の食べ物が出て来ませんね?
日本統治時代 (1895年 – 1945年)
小麦粉系の料理が全く無かったわけではないのですが、それほど多くは無かったようです。小麦粉料理が登場する前に日本人が台湾にやって来ます。
当時の台湾は困窮を極め芋粥や芋ご飯を食べていたのですが、日本人は大々的に稲作を広め日本的な調理方法、日本式の出汁、味噌、醤油等調味料も広まり台湾料理に取り入れられていきます。その後の台湾でも甜不辣や刺身、お寿司として食べられることになるのです。
国民党政府時代~現代 (1945年~)
第二次世界大戦が終了し、1945年から中華民国国民党とその国民が中国大陸から台湾にやって来ます。一説によると200万人あまりが中国大陸から台湾に移って来たそうです。
その国民党と共に大陸各地の料理も台湾にやってきて、中国八大料理の系統(北京、山東、四川、江蘇、浙江、福建、広東、湖南)が台湾料理に組み入れられます。どんな料理なのか具体的にあげてみると・・・
牛肉麵、豬油拌飯、烤紅薯、涼麵、蔥油餅、燒餅、油條、包子、饅頭、豆漿、米漿、小米粥などです。
ここで多くの小麦粉系料理が登場します。だいぶ見慣れた食べ物の名前が上がって来ましたね。小籠包や牛肉麺、豆漿は台湾料理界では割と新参者なのです。
閩南系の台湾人と話していると「餃子とか包子は私たちの主食じゃないから。うちらは閩南人だから米派。」って話が有りました。小籠包や牛肉麺、豆漿といった料理はよく食べるけれども、台湾料理界では割と新しい顔のようです。例えて言うなら日本人にとってのパンのようなものでしょうか?小さな頃から食べているけれども、決して家の料理ではないと言う感じ。
台湾料理って結局なんなのよ?
さて、ここで結局台湾料理ってなんなの? と言う最初の疑問に戻ります。
個人的には閩南と客家系由来の食べ物が台湾料理の中心となり、その周辺を50年、100年余りで台湾にやって来た日本式や大陸各地料理が取り囲み、影響しあい混ざり合っているのではないか?ということです。
なので、小籠包や牛肉麺、豆漿も台湾料理の一つだし、なんなら台湾で食べてる食べ物は全部台湾料理と言うことができるかも知れません。
いわゆる台湾料理はどこで食べられる?
小籠包や牛肉麺以外の台湾料理の中心的な料理を食べてみたいんだけど?どこに行けば食べられるの? なんか本当の台湾料理は家庭の味が云々って言ってる人が居るんだけど? 人の家押しかけるわけにはいかず・・・そんな場合は以下のレストランや食堂を訪ねてみてはどうでしょうか?
欣葉
台湾の家庭料理をベースとした台湾料理を食べられるレストランで一番有名なのはおそらく欣葉でしょう。多くの支店があり、街中の小吃よりは値が張りますが比較的リーズナブルに食べることができます。
海浜海産
海辺の海産食堂は大抵あっさり味な福建、潮州系の味付けな店が多いと思います。高雄にあるこの海鮮レストランは少し交通不便ですが大変美味しかったです。
鬍鬚張
有名な魯肉飯のチェーン店。メインの魯肉飯は台湾人好みのねっとりとした食感。他のサイドメニューも客家系の料理多し。店舗ごとのバラツキもなくある程度品質が保たれています。トイレも結構綺麗で割と安心できるお店。
自助餐の食べ物
街中にある自助餐(セルフ式食堂)の食べ物は普段から台湾人が食べている料理が多いです。価格も安いのですが、店により味はマチマチです。美味しい店を見つけることができればリーズナブルに台湾っぽい料理を食べることができるかも知れません。
少し台湾の食べ物の歴史を知っておくことで、台湾旅行の際に楽しめる幅が広がるはずです。色々食べてみてください!
参考
台灣飲食文化の歴史 (台湾交通部観光局のページ)
「台湾料理」は何料理? (nippon.com)
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