ネットで”台湾” “銀行口座” “開設”というキーワードを使って検索すると、「普通の旅行者でも簡単に台湾で銀行口座が開設できます」的なページが良く出てきます。
確かに、台湾に銀行口座があれば台湾旅行で余った台湾ドルを銀行口座に預けておいたり、事前に宿泊料金の振込が必要な民宿(台湾の民宿は大抵前払いで、PayPal等に対応していない場合も多いです)の予約も可能になります。
今回は普通の旅行者は簡単に台湾では口座開設ができなくなってきていると言うお話。
台湾での銀行口座開設事情
台湾で生活するための居留証を持っていて、実際の台湾での住所を証明できる書類を準備できる場合には、外国人でも問題なく銀行口座を作ることができます。
台湾に生活実態の無い旅行者
しかし、2017年の夏あたりから、台湾に生活の実態が無い外国人が「中華民國統一證號基資表(台湾のマイナンバーのようなもの)」とパスポートだけで銀行口座を作るのは難しくなって来ています。
従来であれば必要書類を準備して銀行に行けば、旅行者でも簡単に口座の開設ができていました。
しかし、最近は金融犯罪防止のためのチェックや政府からの通達があり、口座開設ができたりできなかったりします。
繰り返しますが、台湾に生活の実態がある外国人であれば問題なく口座開設はできます。下記例外を除いて。
台湾人や居留証を持っている人でも20歳未満は保護者の承諾が必要
居留証さえあれば銀行に行きさえすれば銀行口座の開設ができるかと言うとそうでもありません。未成年 (台湾では20歳未満)は両親または台湾での保護監督者の署名が無いと銀行口座の開設ができないことになっています。これは台湾人の未成年にも適用されます。
留学生などは要注意です。
国立中興大学の留学生向けページに詳細な銀行口座に関する解説がありました(中国語)。
依照我國法律規定,屬限制行為能力人(未滿20歲者)之開戶人,在各類銀行或是郵局開戶需要提出經駐外館(處)驗證之法定代理人同意書或在臺監護人簽屬之同意;
我が国の規定に従い、未成年が口座を開設しようとする場合、各銀行または郵便局へ大使館が本物であると認めた法定代理人または台湾での保護監督者による同意書の提出が必要。
銀行で観光で訪問した日本人が口座開設できるか聞いてみた
まず銀行窓口に行き、観光ビザ(ビザ免除)のみで台湾に入国した日本人が銀行口座開設できるかを聞いてみました。
中國信託銀行蘆洲分行の場合
受付で話を聞いたところ、マネージャーに確認するということでしばらく経ってから再度訪問しました。
そこで聞いた話としては・・・
- 中國信託銀行では2017年夏くらいに政府から通達があった
- 居住の実態が確認できる資料の提出が必須
- 公共料金の請求書や勤務先、学校等の証明が出せないと口座は作れない
とのことでした。
「他の銀行ならまだこの通達は始まっていないはずだから作れるかも」と言われました。
面倒な客を断る方便かもしれませんが、すんなりとは作らせてもらえなさそうです。
國泰世華銀行蘆洲分行の場合
窓口に立っている人に聞いたら、カウンターの中の人に聞きに行ってくれました。
答えは、「住所を証明できるものか、勤務先、学校等の証明が必要」とのことで取りつく島もなし。
富邦人壽富尊蘆洲分處の場合
カウンターであっさり「観光の外国人は無理」とのこと
國泰世華銀行カスタマーセンターに聞いてみた
ここで台湾人がカスタマーセンターに電話して聞いてくれました。
カスタマーセンターの担当者が言うには、國泰世華銀行では中華民國統一證號基資表とパスポートだけでも口座開設が可能とのこと。開設できなければカスタマーセンターに電話してもらっても構わないそうです。(北京語か台湾語が必須です)
窓口ではマネーロンダリングを警戒しているのか、面倒な客を増やしたくないのか、規定ではできるけれども現場の判断というもので断っているのでしょう。
とりあえず中華民國統一證號基資表を申請しに行く
銀行口座開設には中華民國統一證號基資表(台湾のマイナンバー)が無いと始まらないのと、台北市の中心部であれば外国人も多いので銀行の態度が変わるかも考え、台北のMRT小南門站付近にある內政部移民署に行きます。
ここで中華民國統一證號基資表の申請が可能で、整理券を取って書類に必要事項を記入し待つこと数十分。カウンターに呼ばれて書類を提出すれば中華民國統一證號基資表を作成してくれます。
必要な書類は
- パスポート
- 中華民國統一證號基資表申請書
- パスポート顔写真ページのコピー
でした。書類には台湾の携帯電話番号が必要です。
國泰世華銀行西門分行で聞いてみる
無事に中華民國統一證號を手に入れたので、MRT小南門站付近にある內政部移民署から一番近い國泰世華銀行の西門分行に行って口座開設できるか聞いてみました。
普通に断られてからの・・・
窓口で口座開設できるか聞いてみたところ
「住所を証明できるもの、勤務先や学校の証明がないと無理」
とやはり断られました。
そこで台湾人がカスタマーセンターに電話して話し込むこと数十分。途中何度か担当者と電話を変わったり、カスタマーセンターから連絡してもらったりして最終的には
「日本での定期収入状況を証明できるのであれば口座を開設できる」
と言うところに落ち着きました。
おそらく、相当マネーロンダリングや不正な口座取得を警戒しています。
日本の銀行の口座番号が入ったキャッシュカードのコピーと、入出金明細のコピー、それぞれに”これは原本で嘘ではありません”という文言とサインをして、収入状況や資産・負債状況、勤務先等をかなり細かく聞かれた上で口座開設をすることができました。
まとめ
今回は台湾人に手伝ってもらったのでできたものの、片言の北京語を話せる程度では旅行者が台湾で口座開設するのは無理だと感じました。
まだ他の市や銀行ではすんなり口座開設できるかもしれませんが、今回台北周辺で確認した範囲ではかなり厳しくなっていると思います。
繰り返しますが、台湾に生活の実態がある外国人であれば全く問題なく口座開設は可能です。
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